40代、鏡の中の自分を好きでいるために

40代、鏡の中の自分を好きでいるために

鏡の前で、ふと足が止まる瞬間

朝、出かける前。
夜、お風呂上がり。
ふと鏡の前で、足が止まることはありませんか。

メイクも、スキンケアも、髪のセットも、
40代になっても手を抜いたことなんてないはずです。
むしろ、若い頃よりずっと丁寧に、
自分の身だしなみに気を配ってきた。

それなのに、鏡の前でふと立ち止まる瞬間がある。
「あれ、なんだか今日、疲れた顔してるな」
「いつもとちょっと、表情が違う気がする」
そんな小さな違和感が、日々少しずつ積み重なっていく。

分け目に光る一本の白髪を見つけたとき、
ふっとため息がこぼれてしまう。
その気持ち、サロンに来てくださる40代のお客様から、
本当によく聞きます。

40代の鏡は、なぜ少しつらいのか

美容師として24年、鏡の前に立つ女性たちを見てきました。
40代になると、鏡を見るのが少しつらくなる方が、本当に多い。

理由は、たぶんこういうことだと思います。

20代・30代の頃は、鏡の中の自分が
「これからどうなっていくか」を映していました。
未来の可能性が、まだそこにあった。

40代になると、鏡の中の自分が
「これまで何をしてきたか」を映すようになります。
過ごしてきた時間が、髪や肌に積み重なって見える。

子育て、仕事、家族のこと、自分のこと。
全部に追われて、自分のことは後回しにしてきた。
その「後回しにしてきた時間」が、
鏡の中に静かに浮かび上がってくるんです。

つらいですよね。
僕は男なので、その感覚を本当の意味では
わからないのかもしれません。

美容師としてよくお聞きするのは、
こんな話です。
「サロンの椅子に座って鏡を見ると、
いつもよりきれいに見えて、少しほっとする。
でも家に帰って、洗面所の鏡の前に立つと、
また現実を突きつけられる気がするんです」

サロンの鏡は、照明も角度も、
お客様がいちばんきれいに映るように設計されています。
だから本当は、あの鏡の中のあなたも、
ちゃんと「本当のあなた」なんです。
ただ、おうちの洗面所の蛍光灯が、
少しだけ正直すぎるだけで。

でも、鏡は敵じゃないんです

ここで一つだけ、伝えたいことがあります。

鏡は、あなたを責めているわけではありません。
ただ、そこに立っているあなたを、
そのまま映しているだけです。

「今の自分が好きじゃない」と感じるとき、
本当は鏡が嫌いなのではなくて、
「自分のことを後回しにしてきた自分」に
気づいてしまうから、つらいんだと思います。

白髪を見つけたときに胸がぎゅっとなるのも、
たぶん同じです。
白髪そのものが嫌なのではなくて、
「ちゃんと自分のことを大事にできていなかった」
という気持ちに、ふと触れてしまうから。

だとしたら、必要なのは
鏡を見ない努力でも、白髪を抜くことでもなくて、
今日から少しずつ、自分のことを
丁寧に扱ってあげることなんだと思います。

鏡の中の自分を、好きでいるために

サロンで、自分のことを好きでいるのが上手な方たちには、
共通点があります。
特別なことをしているわけじゃないんです。
本当に小さなことばかり。

たとえば。

朝、鏡を見たときに、
「ダメなところ」より先に「いいところ」を
一つだけ見つけるようにしている。

「今日の眉毛、悪くないな」
「肌の調子、ちょっといいかも」
「この髪色、思ったより似合ってる」

そんな、本当に小さな発見でいいんです。

もう一つ。
週に一度でいいから、
自分のためだけの時間を作っている。

シャンプーをいつもより丁寧にする。
指の腹で、ゆっくりヘッドマッサージをしてみる。
鏡の前で、髪をゆっくり梳かす。

「自分のための時間」を持つと、
鏡の中の自分への目線が、少しずつ優しくなります。
「責める対象」から「大切に扱う対象」に変わっていく。

白髪も、あなたの一部です

白髪のことも、同じように考えてみてほしいんです。

白髪は、あなたを困らせるために
生えてきたわけではありません。
あなたが今日まで一生懸命生きてきた、
その時間の証拠です。

染めても、染めなくても、どちらでもいい。
白髪との付き合い方は、人それぞれの正解があります。

大事なのは、「白髪のある今の自分」を
責めないでいてあげること。
鏡の前で「ああ、また増えた」とため息をつく代わりに、
「ここまでよくがんばってきたな」って、
ちょっとだけ思ってあげてほしい。

白髪にしかできない髪型がある

美容師として、最後に伝えたいことがあります。

白髪が出てきた40代の髪は、
20代の髪では絶対に作れない表情を持っています。

光の当たり方が変わる。
重さの出方が変わる。
ハイライトを入れたときの陰影が、
若い髪よりずっと深くなる。

白髪を活かしたカラー、白髪をぼかすハイライト、
あえて染めずに育てるグレイヘア。
どれも、白髪があるからこそ完成する髪型です。

「白髪にしかできない髪型」
「今のあなたにしか作れない髪型」が、
ちゃんとあるんです。

20代の頃の自分には戻れないけれど、
20代の頃には作れなかった美しさが、
今のあなたには宿っている。

今日から、ひとつだけ

長くなってしまいました。
最後に、今日から試してみてほしいことを
ひとつだけ。

明日の朝、鏡を見たときに、
自分のことを「いいところ」を一つ、
見つけてあげてください。

髪のツヤでも、目元でも、笑い方でも。
本当に小さなことでいい。

そして心の中で、
「今日の私、なんだか肌の透明感いいじゃん」
「この髪のツヤ、悪くないかも」
そんなふうに、鏡の中の自分に
美容の誉め言葉をかけてあげてください。

それを毎朝続けるだけで、
鏡の中の自分との関係が、
少しずつ変わっていきます。

白髪があっても、しわがあっても、
それは「あなたが生きてきた」という
何より確かな証拠です。

白髪にしかできない髪型へ、
あなたにしか作れない美しさへ、
一緒にゆっくり進んでいきましょう。

鏡の中のあなたを、
今日から少しずつ、
好きになっていけますように。

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